型落ちワイヤレスイヤホンの内蔵電池を交換して延命しよう!
最新のハイエンドワイヤレスイヤホンは為替相場の影響もあり価格が高騰する一方で購入を躊躇ってしまいます…
お値段以外にも購入に踏み切れない大きな理由は「寿命がある」ということです。
一般的にワイヤレスイヤホンに使われている電源は充電式のリチウムイオン電池ですが、繰り返し充放電できる回数が決まっており、約500回以上から著しく性能が落ちてくるようです。
今回の題材でもある「WF-1000XM3」を例にして大まかな寿命を計算してみると下記のとおりとなります。
1日当たり使用時間 | 仕様上の寿命 |
2時間 | 1500日 (4年1ヶ月10日) |
4時間 | 750日 (2年20日) |
6時間 | 500日 (1年4ヶ月15日) |
8時間 | 375日 (1年10日) |
※上記計算例はあくまで目安であり使用モードや音量など使用環境によって変化します。
※電池持続時間:サウンド設定「ノイズキャンセリング:ON、DSEE HX:OFF」の連続再生で約6時間
※電池寿命時間換算:6時間×500回=3000時間
使用頻度によって捉え方が異なりますが価格に対して寿命が短いと感じています。
■■■WF-1000XM3 使用時間を延ばすためのワンポイントアドバイス■■■
スマホアプリ「Headphones Connect」を起動してサウンドタブにある「DSEE HX」の機能をオフにすることで再生可能時間が約2倍になります。
製品寿命の原因は内蔵充電式リチウムイオン電池ということがわかっているのですが、メーカーに電池交換を依頼すると23,100円もの費用がかかるので新製品に買い替えたほうが良いレベルです。
費用をかけずに延命する方法は自分で内蔵電池を交換するしかなさそうです。
WF-1000XM3を分解しているブログやYouTubeを見ると、それほど難しくなさそうに思えたのでチャレンジしてみることにしました。
初めに交換する内蔵充電式リチウムイオン電池を入手する必要があります。
内蔵されていた電池の記載内容は「ZeniPower Z55 Li-ion 3.7V 0.24Wh」、市販品ではCP1254またはLIR1254というものが該当するようで、この数字は直径:12㎜、厚さ:5.4㎜を意味します。
しかし日本の通販サイトで「CP1254」を検索すると海外発送品ばかりで価格も割高なうえに到着も遅いと思われます。
フリマサイトからでも入手できるようですが海外通販大手のアリエクスプレスから購入することにしました。
2個の注文で送料込み約1,600円でした。
アリエクスプレスの欠点は注文タイミングによって納期が長いことですが今回は15日ほどで到着しました。
「1254」リチウムイオン電池について
海外通販サイトのアリエクスプレスで「1254」と検索するとリチウムイオン電池が複数ヒットしますが、それぞれの違いを調べてみました。
WF-1000XM3に標準内蔵されている「ZeniPower Z55 Li-ion 3.7V 0.24Wh」を基準とした比較は以下のとおりです。
ブランド 型番 電圧 容量 容量比 ZeniPower Z55 3.7V 0.24Wh 100% ZeniPower Z55H 3.85V 0.29Wh 120.8% VARTA CP1254A3 3.7V 0.2Wh 83.3% ノーブランド LIR1254 3.6V 62mah 91.6% ※mAh(放電容量)からWhへの変換:Wh=(mAh÷1,000)×V
商品到着時に電圧チェックを行いました。
仕様上の電圧は3.7Vとなっていましたが測定結果は3.52Vと3.53V
少し電圧が低い気もしますがレビューを見ると同じような測定結果の人がいたので多分大丈夫でしょう…
※数回の充放電後に電圧チェックしてみたところ3.8Vになっていたので問題なかったようです。
「直径:12.0㎜、厚さ:5.4㎜」サイズチェックも規格どおりで問題なしです。
【取扱注意】ボタン電池は上下面全体が極性になっていますので金属製ピンセットのような電気をとおす工具を使って掴むとショートするので危険です。
交換作業に際して準備したものは以下のとおりです。
- デジタルテスター
- 両面テープ(100均)
- 薄型金属ヘラ
- ピック型オープナー
- 精密プラスドライバー(参考サイズ:+0番、軸径2㎜)
- 精密マイナスドライバー
- ピンセット(100均)
- シリコンブロアー(100均)
- CP1254A3電池×2個
作業後に準備しておけばよかったと思ったのは「無水エタノール」です。
これはトップカバーや電池の固定に使われていた粘着テープなどの接着力を弱めるために使います。
分解前にイヤーピースを取り外しておきます。
本体タッチセンサーの部位がトップカバーとなっているので周囲の継ぎ目に薄型金属ヘラでピック型オープナーが差し込める程度の隙間を開けます。
今回の作業では薄型金属ヘラは使わず爪で隙間を開けることができました。
隙間部分は接着されていませんがトップカバー裏面とアンテナフレームが接着されており簡単には外れません。
ピック型オープナーを隙間に沿って周回させるようにして徐々に分離させます。
【注意】無理やり取り外すとツメ折れやトップカバーが破損する恐れがありますので慎重に作業しましょう。
トップカバーをそっと開けてみるとタッチセンサー裏側にスポンジテープのようなものが千切れかかっていました…
このときに無水エタノールを使って粘着性を弱めればもっと綺麗に剥がせたのにと思いましたが時すでに遅し…
【教訓】ある程度トップカバーの隙間が確保できた時点で無水エタノールを注入して粘着力を弱めると綺麗に剥がせるかも。
トップカバーと接着されていた箇所は丸い金色のところと下の黒い四角いところです。
次に本体側にある2か所のネジを外します。
ネジは精密ドライバーのプラスを使用します。
眼鏡に使われるような小さなサイズで「#0」だと思います。
【ポイント】かなりきつく締められているのでネジ山を舐めないように強く押し付けながら緩めます。
ネジをはずすとアンテナフレームが本体から分離できます。
このアンテナフレームの裏側に目的のリチウムイオン電池が装着されています。
【注意】アンテナフレームはフレキシブル基板で本体と繋がっているので要注意!
リチウムイオン電池との隙間にマイナスドライバーを差し込んで持ち上げる要領で取り外します。
【注意】今回は普通のマイナスドライバーを用いたのですが導電性の工具で電池を外すのは危険だと思いました。電池に触れる工具は絶縁ドライバーなどの非電導性工具の使用を推奨します。
【ポイント】リチウムイオン電池も両面テープのようなもので接着されていますので隙間から無水エタノールを少し注入して粘着力を弱めると外しやすいと思います。
電池装着箇所に両面テープのようなものがこびりついていたので除去します。
マイナス接点電池端子も取り外します。
標準装備のリチウムイオン電池を観察すると下記記載が確認できました。
ZeniPower
Z55
Li-ion 3.7V 0.24Wh
「ぜ、ゼニ?銭パワー??」日本人からするとなかなかインパクトのあるメーカー名です(笑)
中国のボタン電池メーカーのようで補聴器用電池の分野では世界トップクラスのシェアを誇っているそうです。
両面テープを2㎜×4㎜程度の大きさにカットしてマイナス接点電池端子を元の位置に戻してから貼り付けます。
この両面テープによってマイナス接点電池端子とリチウムイオン電池がアンテナフレームから外れないので元に戻す作業が楽になります。
交換用リチウムイオン電池の印字面を下にして押し込むように装着します。
【注意】電池の極性を間違わないように!
アンテナフレームを本体側に戻して2か所のネジを交互に確実に締めます。
最後にトップカバーを嵌め込んで交換作業は完了です。
充電ケースにセットすると無事に充電されていることが確認できました。
左右の電池交換作業に要した時間は1時間ほどでした。
分解しやすいイヤホンなので持続時間が短いと感じたらチャレンジしてみる価値は十分あると思います。
WF-1000xm3は型落ちではありますが音質、装着感、操作感も良好な機種なのでまだまだ活躍してくれそうです。