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アイネックス熱伝導ゲル【HT-10】 vs. サンワサプライシリコングリス【TK-P3S】
シート状熱伝導ゲル
CPUを交換する機会があったので以前から気になっていた熱伝導シートを試してみることにしました。
グリスの代替としても使われるCPU用熱伝導シートは様々な製品が販売されており、高価なものから格安品まで価格も性能もピンキリです。
メリット
- 交換時にグリスを拭き取る必要がなく手が汚れない
- マザーボードなど他の部位を汚すことがない
- CPUのヒートスプレッダーに乗せるだけなので扱いが簡単
- ムラのない均一な放熱
- 繰り返し使える?
デメリット
- 保護フィルムが剥がしづらい
- 製品によっては破れやすい
- 思っていたほど冷えない
- コストパフォーマンスが悪い
高級グリスでもそうですが人気のある高性能商品はコピー品が出回っている可能性があるので注意が必要だと思います。
数センチ角の小さなシートに数千円も出せないので、今回はリーズナブルな「Ainex シート状熱伝導ゲル HT-10」を試してみることにしました。
HT-10 の仕様と特長
仕様
ブランド | アイネックス (Ainex) |
メーカー | 株式会社タイカ |
製品名 | シート状熱伝導ゲル |
型番 | HT-10 |
サイズ (縦×横×厚) | 35×35×0.5 (㎜) |
熱伝導率 | 6.5W/m・K |
比重 | 2.9 |
仕様温度範囲 | -40~150 (℃) |
特長
- 高い熱伝導率を有しており放熱に優れた効果を発揮
- 優れた柔軟性と粘着性で細かい凹凸面に密着しするので接触面に空気層を作りません
- 電気絶縁性および難燃性に優れています
- 幅広い温度範囲で使用可能です
「株式会社タイカ」とういう化学メーカーの製品「シート状熱伝導ゲル ラムダゲル COHシリーズ 型番:COH-4000LVC-T0.5」をパソコン冷却パーツ用のサイズにしてアイネックスが販売しているようです。
本来のサイズは400×400(㎜)と大きくて10,000円弱ほどで販売されているようです。
アイネックスが販売する「HT-10」は35×35(㎜)の大きさで約400円。
大まかに計算すると、400㎜÷35㎜=11.4 → 11×11=121枚(+残余分)
121枚×400円=48,400円!?
切り売り用としてパッケージなどを考慮すると「HT-10」は妥当な価格だと思いますが、もし大量に使う場合や任意の大きさが必要な方はコストパフォーマンスの高い「COH-4000LVC-T0.5」を断然お勧めします。
HT-10 の取付け
Core i7-3770のヒートシンクの大きさが約30㎜角に対して、シート状熱伝導ゲルHT-10は35㎜角なので全体を覆うことができます。
両面に貼ってある保護フィルムを剥がすのに少々手間取りました。
ピンセットを使って何とかCPUヒートシンク上に載せることができましたがLEDライトを当ててみると膨らんでいる箇所があることに気付きました。
スマートフォンフィルムのように気泡ができていたようです。
ピンセットでシートの端を持ち上げて空気を逃がしてやると上手く密着させることができました。
比較対象グリス
今回比較するシリコングリスはサンワサプライが販売する「サンワサプライ シリコングリス TK-P3S」です。
このグリスを選択した理由はコストパフォーマンスが良く「HT-10」と熱伝導率が同じだったからです。
TK-P3S の仕様と特長
仕様
ブランド | サンワサプライ |
製品名 | シリコングリス(シルバー) |
型番 | TK-P3S |
内容量 | 2g |
熱伝導率 | 6.5W/m・K |
特長
- CPUとクーラーまたはヒートシンクとの間に熱伝導率の高いグリス(銀入り)を塗布する事で冷却効果を最大限に引き出します。
- 塗りやすいソフトタイプ。
TK-P3S の塗布
均一に塗布するためにマスキングテープを貼ってからヘラで延ばす方法にしました。
メーカーが言う特長どおりグリスは柔らかくて非常に塗りやすいです。
テスト環境とソフトウェア
両者を比較するのに使ったパソコン構成やソフトウェアは下記のとおりです。
- CPU:Core i7-3770
- CPUクーラー:刀3クーラー(SCKTN-3000)
- 冷却ファン:ENERMAX UCTB9P(92×92㎜)
- 負荷ソフト:CPU-Z
- 温度測定ソフト:Core Temp
パソコンケースの蓋をしない状態で15分間、CPUに100%の負荷をかけ続けて温度推移を見ます。
測定結果
熱伝導率が同じなのでそれほど差は出ないと予想していましたが、想定外の結果となりました。
CPU使用率100%の高負荷時にはおよそ10℃もの温度差が生じました。
発熱に応じてCPUファン回転数も約300(RPM)多いので騒音レベルも明らかに大きいと感じました。
これほど顕著に差が出るとは思っていなかったので今後は従来のシリコングリスを塗布することにします。
追記(再利用不可)
毎年室温が40℃近くに達することもある酷暑部屋なのでCPU温度が高めなのは気がかりです。
やはり従来のシリコングリスに戻した方が良いと思ってシート状熱伝導ゲルHT-10を回収することにしました。
CPUクーラーを慎重に取り外したにも関わらずご覧の通り無残にも破れた状態になっていました…
回収して保管しておく目論見はあっけなく外れてしまいました。