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取付け楽々!夏季に備えてTDP180W空冷CPUクーラーに交換
購入動機
TDP(熱設計電力)の大きなCPUを搭載していないので長年使用してきた90㎜ファン搭載CPUクーラーでも十二分に役目を果たしてくれています。
以前から苦手に感じていたのですが交換しようと思った最大の動機はインテルCPUに採用されているプッシュピン。
ヒートシンクの形状が特徴的だったこともあり、いつも四苦八苦しながら脱着していたのでネジ止め式に買い替えたい願望がありました。
しかし一度取り付けてしまえば頻繁に脱着することのないパーツなので「必要ない!」と長年自らに言い聞かせてきました。
交換を決意したのは以前の記事「シート状熱伝導ゲルHT-10とシリコングリスTK-P3Sの冷却性能比較」で脱着するのに懲り懲りしたからです。
購入する前に
サイドフロー式のCPUクーラーを選択する場合は高さがあるのでケースに収まるか否かを確認しなければなりません。
主要なサイドフロー式CPUクーラーのほとんどは高さが160㎜以内なので目星をつけた複数候補はすべてケースに収まることを確認。
候補
CPUクーラーの圧倒的人気は「虎徹 Mark II」ですが、敢えて候補から外して以下の条件で絞り込むことにしました。
- ネジ止め式の脱着
- 120㎜ファン搭載
- 高さ160㎜以内
- TDP150W以上
- 対応ソケットの多さ
主な仕様比較
SE-224-XT | GRATIFY3 | OWL-CPUC02 | |
ブランド | アイネックス | Scythe(サイズ) | オウルテック |
幅x高さx奥行(㎜) | 120x154x73 | 120x153x73 | 125x152x75 |
TDP(W) | 180 | 180 | 150 |
ファン回転数(RPM) | 700±200~1800(±10%) | 800~1550(±10%) | 800~1500 |
最大ファン風量(CFM) | 76.16 | 80 | 49 |
ノイズレベル(dBA) | 15.2~32.5 | 27 | 11~20 |
デュアルファン | 〇 | 〇 | × |
保証 | 6カ月 | 2年 | 1年 |
発売時期 | 2020年5月 | 2020年12月 | 2019年5月 |
最終的にアイネックスとサイズで迷ったのですが、デュアルファン運用が可能など機能・性能面的にはほぼ同等なので価格が安い「SE-224-XT」を購入することにしました。
(※)価格は本記事作成時点
パッケージ開封
黒い背景にオレンジが印象的な化粧箱で本体と付属品一式が収められています。
箱の大きさは「高さ179㎜、幅156㎜、奥行115㎜」です。
裏面には日本語を含めて9ヶ国もの言語で製品の仕様概略について書かれています。
開封すると発砲緩衝材でヒートシンクとファンを覆う形で保護されており、別の箱に付属品一式が入っていました。
内容物は下記のとおりです。
- ヒートシンク
- 120㎜ファン
- インテルブラケット(×2)
- AMDブラケット(×2)
- LGA1200/115Xバックプレート
- ファンクリップ(×4)
- スタンドオフ(×4)
- LGA20XXネジ(×4)
- 締付けナット(×4)
- AM4ネジ(×4)
- サーマルグリス
- インストールガイド
インストールガイド(取扱説明書)
初めにインストールガイドを見ていきたいと思いますが英文でしか書かれていないので日本語訳をつけてみました。
ヒートシンク
主役のヒートシンク外観を細部にわたって観察してみます。
サイドフロー式のCPUクーラーとしては一般的な形状で特筆すべき点はありません。
CPUヒートスプレッダーと接するコアプレートからヒートパイプ先端までの全高は154㎜。
4本のヒートパイプに取り付けられたフィンは約120㎜×48㎜の大きさで合計46枚あります。
CPUヒートスプレッダーと接する平面研磨されたコアプレート部はヒートパイプ素材の銅が露出しているのでアルミの銀色と銅の縞模様になっています。
フィンの形状をよく見ると左右対称ではありません。
インストールガイドを見るとギザギザの細かい方が吸気側になっておりファンもこちら側に取り付ける図になっています。
ヒートシンクは左右どちらでも取り付けられるのですが、ギザギザが細かいほど平面的に見た場合に長くなるので性能に差が出るのかもしれません。
当初その違いに気付かないで逆に取り付けていました…
拘りのある方は取り付け前に前後を確認するのを忘れないようにしましょう。
全体的に見てフィンの並びや研磨加工など工作精度はよさそうに感じました。
ヒートシンク本体の重さは484gでした。
各付属品
付属品は「120㎜ファン、インテルブラケット、AMDブラケット、LGA1200/115Xバックプレート、ファンクリップ、スタンドオフ、LGA20XXネジ、締付けナット、AM4ネジ、サーマルグリス」です。
主な付属品について見ていきたいと思います。
120㎜ファンの詳しい仕様は下記のとおりです。
- 回転数:700rpm±200~1800rpm±10%
- 最大風量:76.16CFM
- ノイズレベル:15.2~32.5dB(A)
- 定格入力:DC12V 2.4W
- サイズ:120×120×25㎜
- ベアリングタイプ:Hydraulicベアリング
- コネクタ:PWM4ピンタイプ
- ケーブル長:44㎝
インテルソケットに取り付ける場合、「ヒートシンク本体484g/ファン135g/バックプレート65g/その他ファンクリップやネジ類」を合わせた重量は約700gとなります。
CPUクーラーが重いとマザーボードへの負担も大きくなるのでTDP180Wにしては大きさ重量ともに◎だと思います。
デュアルファンにしても840g程度の重量です。
準備したもの
CPUクーラーを取り付ける前に下記のものを準備しました。
- プラスドライバー(軸長が13㎝以上のもの)
- ハサミ
- クリーニングスプレー
- キムワイプ
- 手袋
- ブロアー
- ヘラ
- シリコングリス「TK-P3S」(付属品で可)
- マスキングテープ
ヒートシンク取付け
取り替える場合は旧CPUクーラーを取り外してCPUヒートスプレッダ面に残ったグリスを丁寧に拭き取って掃除します。
マザーボードのレイアウトにもよりますが作業の支障とならないようにメモリも全て取り外しておきました。
インテル115Xのマザーボードに取り付けるための付属品は下記のとおりです。
- 締付けナット(×4)
- スタンドオフ(×4)
- ファンクリップ(×2)
- LGA1200/115Xバックプレート
- インテルブラケット(×2)
マザーボードの裏側から「LGA1200/115Xバックプレート」を4つの穴に差し込みます。
抜け落ちないようにマスキングテープを貼りました。
マザーボード表側に出た4箇所のネジ部に「スタンドオフ」を押し込むようにして取り付けます。
初めはネジ式だと思っていたので一生懸命回していました…
「インテルブラケット」をネジ部に取り付けて「締付けネジ」を手回しで取り付けた後にプラスドライバーで増し締めします。(※締めすぎ注意!)
シリコングリスが均一になるようにマスキングテープで四方を囲ってからヘラで塗り伸ばしました。
使用したシリコングリスは熱伝導率6.5W/mKのサンワサプライ「TK-P3S」
CPUのマスキングテープとヒートシンクの保護シートを剥がして取り付けます。
インストールガイドに従ってフィンのギザギザが細かい方を吸気側となるように取り付け方向を確認します。
ヒートシンクのネジとインテルブラケットのネジ穴を合わせた位置に慎重に載せてプラスドライバーで左右均等になるよう交互に締めます。(※締めすぎ注意!)
ファンの回転と風向きを示す矢印を確認して「ファンクリップ」を取り付けます。
ファンの縦方向の位置をヒートシンクの上面に合わせてファンクリップをヒートシンク側面の凹部に引っ掛けます。
最後にマザーボードのCPUファン端子に4ピンコネクタを差し込んで取り付けは完了です。
メモリに干渉することなく取り付けることができました。
排気側にも十分スペースがあるのでデュアルファン運用も可能です。
冷却性能
負荷ソフト「CPU-Z」を使用して冷却性能を測定してみました。
室温26℃の環境下で15分間CPU使用率を100%の状態にして1分ごとの温度をグラフにして見ると凡そ60℃前後で安定して冷却できていることが確認できました。
CPUベンチマークソフト「CINEBENCH」を完走した場合のCPU最高温度は62℃でした。